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2018年3月卒業式にて-同窓会会長からのご挨拶

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。 保護者の皆さん、これでようやく肩の荷がおりましたね。おめでとうございます。卒業生の皆さんは、今日から同窓会の正会員、心から歓迎致します。

35年前、私も今の皆さんの様に、この礼拝堂で卒業式を迎えました。このキャンパスで多くを学び、親友を得て、辛かったけど失恋もし、それでも希望に胸を膨らませて卒業しました。その後、銀行に就職し、職場でICUの先輩と出会い、その人と結婚し、家族ができ、海外に暮らし、転職し、今でも現役で働いています。この間に色々なことがありましたが、今にして思うのは「ICUで本当に良かった」ということです。

ですが、卒業して最初の何年間かは、とてもその様には思えませんでした。「ICUの常識、世間の非常識」。はやる思いが人に通じない、何をやっても壁に打ち当たる、自分がICUで学んだことは何だったのだろう、と悩んだことも一度ではありません。

それがある試練を経て、ICUで学んだ事、経験した事が、どれだけ価値があることなのかに気付きました。30代半ばにロンドンに赴任、小さいけれどチームを任され、勇んで身の丈を超えた仕事を引受け、見事失敗しました。なんとか切り抜けようと必死にもがいている中で、自らの過ちを認める勇気、信頼できる仲間のありがたさ、枠に囚われない物の考え方の大切さに気付き、ICUで得たものを意識しました。リベラルアーツってそういう事なんだ! 嵐を乗り越えた時、「ICUで本当に良かった」と思いました。

これからICUを巣立ってゆく皆さんにも、いつかそんな時が来ると思います。それまでの間、今の気持ちを大切に、時には先輩や友人と呑んで語って、ICUで得た物を思い出してもらいたい。この小さな大学には、ビジネスや学究の世界だけでなく、国際協力やジャーナリズム、芸術・スポーツと、ありとあらゆる分野で活躍している同窓生がいます。それぞれの分野で独自の道を切り開いてきた方々です。そうした先輩と知り合い「ICUで本当に良かった」を共有できたら、なんと素晴らしいことではないでしょうか。

そのきっかけが得られるのが、同窓会です。

「狭き門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいってゆく者が多い。命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない。」(マタイによる福音書第7章13-14節)

同窓生を代表して、皆さんの未来にエールを送ります。

2018年3月23日

第18代同窓会会長 木越 純