「献学以来3万人の卒業生を送り出してきた国際基督教大学は、牧師をはじめ数多くの伝道者を輩出してきたことでもよく知られる。この特異な学舎で彼らの献身の志はいかにして育まれたのか。70名余りの卒業生たちの、遺稿も交えて記される興味尽きない証し。」
これは、この2月末に新教出版社から発売されたばかりの『われら主の僕―リベラルアーツの森に育まれ』の本の帯の文言です。ICUは別に牧師養成大学ではありませんが、ここから牧師・伝道者になる人が多く出ているのです。それもみなさん重要な働きをしている方々ばかりです。初期の卒業生で天に召される方々も出てくる中、早く「証言集」を集めようという動きが数年前から起こっていました。さらにそれを一冊の本にまとめて出版しようという展開になり、その仕事を同窓会支部の「ICU伝道献身者の会」が引き受けることになったわけです。ニューヨークのJICUFにも支援していただき、宗務部・図書館はじめ、多くの学生さんや先生たちの協力も得て、支部の委員の方々の努力もあってやっと完成するに至りました。
この本を「偉い先生方の説教集」だと勘違いなさっている向きもあるようですが、全く違います。このキャンパスで一人の学生として、如何に生きるかを真剣に考え、キリスト教と出会い、さらには自分の人生を伝道のために献げようとするまでに至った心の軌跡を証言している「文集」です。「この本は学生たちこそ読むべき本だと思いました」との感想を寄せた方がいます。この本の中に、学生たちは自分たちと同じ「青年」を見出す事でしょう。
牧師・伝道者になるということは、経済的に貧乏暮しをするというのが一般的には相場です。ICUの卒業生は皆さん優秀で多くの方々が「社会的成功者」になっておられます。大変素晴らしいことです。そこから見ると、伝道献身者になるというのは、「貧乏くじ」を引くようなものです。しかし、私たちはこれを「聖なる貧乏くじ」と呼んでおります。お隣に東京神学大学がありますが、ICUを卒業した後そこに入学する人が常にいます。ICUから東神大に向かう暗い小径がありますが、これは「出家の道」と呼ばれています。東神大でなくともそれぞれの「出家の道」を選んで、伝道のために全人生を献身する人がこの大学には少なからず居ます。そういう人たちがこの大学から出るというところに、(この本の中のコラムで元東大総長の矢内原忠雄先生も書いておられますが)大学名に堂々と「キリスト教」と入っている国際基督教大学、そのど真ん中に「C」とあるICUの、まさに真骨頂ではないかと思っております。献学70周年という節目の年に「キリスト教」と「世界平和」を建学の理念として建てられたICUのまさに「原点」を改めて振り返るという意味でも、これは「記念碑的な出版物」になるのではないかと思います。(分量の関係で今回は1期から35期生まで約70名の証言集でしたが、さらに素晴らしい方々が続々とおられますので近い将来第二弾も出るものと思います。)
同窓生の皆様にも、また現役学生たちにも、是非この本を手に取って読んで頂きたいと思います。(*キリスト教関連書は一年で千部が出れば「ベストセラー」とのことですが、この書は発売一ヶ月半で既に「ベストセラー」になっています!)
https://www.amazon.co.jp/われら主の僕:ICU伝道献身者の会:
https://www.shinkyo-pb.com/books/われら主の僕
文責:同窓会「ICU伝道献身者の会」支部長有馬平吉(18期)
事務局 梅津裕美(27期)