NEWS

出版『生と死―生命という宇宙』への誘い

構想よりおよそ10年の歳月を経て、『生と死――生命という宇宙』(『生と死―生命という宇宙』(十八世紀叢書第7巻)(中川久定・村上陽一郎責任編集、図書刊行会、518頁、2020年9月刊)が世に出されました。

本書の出版によって、重要な著作家でありながら日本での紹介が進んでいなかったボネとビシャの代表的著作と『百科全書』の生と死に関連する項目の、日本で初めての学術的な翻訳を提供し、併せて読書の参考となる解説も付けるという成果をあげることができたものと、翻訳者一同、自負しています。

本書の構成は、次のとおりです。

  • 『心理学試論』シャルル・ボネ 飯野和夫・沢﨑壮宏訳
  • 『生と死の生理学研究』マリー・フランソワ・グザヴィエ・ビシャ 小松美彦・金子章予 訳
  • 『百科全書』項目――死 生 生・寿命ボネ『心理学試論』(沢﨑壮宏 飯野和夫)
  • 解説:グザヴィエ・ビシャと『生と死の生理学研究』の歴史的在処(小松美彦)
  • 解説:『百科全書』項目――ふたつの「生」とひとつの「死」について(川島慶子)

行動を構成する身体の仕組みを明らかにし、行動を精緻に観察することによって心の働き、ひいては人間の生のあり方を解明せんとした『心理学試論』、実験と理論、観察生理学と推論生理学との統合により、生理学を新たな次元へと昇華させた『生と死の生理学研究』、『百科全書』からの項目「死」「生」「生・寿命」を収録しているだけでなく、それぞれの著書に関する解説を付しています。

ぜひ、お手に取って18世紀における新しい科学への変換期をご体験ください。

 

文責:G1984 金子章予