プロフィール
2019年ICU卒業。5年プログラムを経てICU大学院修士課程を2020年に修了。3歳からゴルフを始め、5歳から競技に出場。ジュニア時代は世界ジュニアゴルフ選手権や全国大会に出場。ICU在学中にプロ転向をし、マイナビネクストヒロインゴルフツアーなどに出場。卒業後はアメリカのWomen’s All Pro Tourや台湾LPGAツアーに出場中。
- 齋藤
渡辺 - 本日はよろしくお願いいたします。
- 齋藤
- スポーツ関連の人はゲストとして初めてですよね!あっ、そう言えばアメフトの選手さんもいましたね、とすると、2人目ですね。
- 宮崎
- よろしくお願いいたします。実は在学中に斎藤さんの授業(サービスラーニング)を受けさせていただいたことがあるんです…!
- 齋藤
- えっ!確かに「問題解決の考え方」についてお話させてもらいました。その時にたくさんの学生さんがおられたのですが、宮崎さんもその時に聞いておられたんですね。ありがとうございます。今までのゲストの中に、そんなことを言ってくれた人は初めて!(笑)嬉しいな~。
- 渡辺
- 斎藤さんがICUで講義をされたのですね?
- 齋藤
- それはきっと、この「今を輝く同窓生たち」のおかげではないですかね。宮崎さんが学生さんの頃ですから、数年前だと思うのですが、サービスラーニングセンター長の西尾先生から学生たちに話ができませんか?との依頼があったのです。また、実業で活躍している卒業生で後輩たちに話ができる人もできれば紹介して欲しいと言われたのです。それがきっかけでした。ICUもずいぶんと進化したな~と思ったものです(笑)。というのも、僕が同窓会長の時に同窓生にアンケートをとったのです。その中に、社会人としての経験や学びを、在校生に伝えたい人が250人ぐらいいたのです。
- 宮崎
- すごい!
- 齋藤
- ただ、当時の学長にその話を伝えたら、断られてしまったのでICUからお話があったことに驚いたのです(笑)
ゴルフを楽しいって思ったことはないです。負けたくない!の思いだけで続けていました。
- 渡辺
- 宮崎さんは何歳からゴルフを始められたんですか?
- 宮崎
- 3歳の時です。兄が先にゴルフをしていて一緒についていっていました。
- 渡辺
- お兄さまと一緒に。お兄さまが始められたきっかけは?
- 宮崎
- 習い事のひとつとしてやってた感じです。兄も小学校1年生ごろにはゴルフを始めていました。私がすごく負けず嫌いで、なんでも一緒にやっていました(笑)
- 渡辺
- ちなみに、その3歳くらいの時の記憶ってあります…?
- 宮崎
- 全然ないです。写真もなくて(笑)ゴルフのクラブは物心つく前から握っていました。
- 渡辺
- 物心つく頃には。。。じゃあ、感覚としてゴルフするのは楽しいなっていうのはありました?
- 宮崎
- 楽しいって思ったことはないです。負けたくない!の思いだけで続けていましたね。
- 渡辺
- 負けず嫌いなんですね。じゃあ、負けたくない!という気持ちでかなり練習に打ち込んでいらしたんですね?
- 宮崎
- そうですね。兄に絶対に負けたくなくて一緒に練習をしたりしていました。
- 齋藤
- コンペティターがいるというのは素晴らしい環境ですね。
- 渡辺
- 実際に一緒に練習していて、お兄さまとは?
- 宮崎
- 小学生の時には兄のことは抜いていました。兄は中学受験の時に競技ゴルフは辞めてしまいました。
- 渡辺
- お兄さまが辞められても、宮崎さん自身はゴルフを続けたのはどうしてだったのですか?
- 宮崎
- ずっと試合に出ていたからです。初めて出たのは5歳の時で、7歳から世界ジュニアなどの海外の試合にも出場していました。
- 渡辺
- 一緒に練習や試合に出るお友達に対してもやっぱり、絶対負けないという気持ちで?
- 宮崎
- そうですね。ですが、他の習い事もしていました。
- 渡辺
- ご両親は、色々な習い事を試してみることで可能性を探ってくださったんですね。
- 齋藤
- そういう時代なのかもね。昔は習い事として何かするってことはなかったけど、今は親が色々とやらせてくれるわけやね。ぼくの子供時代は、そろばん教室が流行っているぐらいでした。
- 宮崎
- たしかにそうですね。私の場合は、ピアノだけはやりたいって自分で言いました。でも1番才能がなかったです(笑)
- 渡辺
- ピアノはやってみたらそこまで楽しくなかった感じですか?
- 宮崎
- はい。小学校の時周りの友達がピアノのできる子が多かったので、やりたい!と思ったんですが、やってみても向いていなかったです(笑)
- 渡辺
- それに比べてゴルフは、ピアノとは違った感覚があったんですか?
- 宮崎
- はい、競争する環境の方が良いのかもしれないですね。囲碁もやっていたんですが好きでした。
- 齋藤
- へえ〜本当に小さい時から色々やっていたんだね。
- 渡辺
- 5歳からの試合って、どのくらいのペースで出ていらしたんでしょう?
- 宮崎
- 入れようと思ったらいくらでも入れてましたね。夏休みとかは毎週試合をしていて。気づいた時には試合に出ていることが当たり前の環境でした。
- 渡辺
- 毎週!具体的にどのようなスケジュールで?
- 宮崎
- 朝起きたらパジャマのまま乗せられている感じで(笑)そのまま気づいたら試合会場について…。なので実は全然覚えていないです。
- 渡辺
- ゴルフは朝も早いし大変ですよね。でも試合になると、グッと集中なさるんでしょうね。
- 宮崎
- そうですね。試合が始まってしまえばやるしかないので、集中します。
- 渡辺
- ゴルフの練習はどのくらい?
- 宮崎
- 小学生の頃は週に4回くらいです。1回あたり1時間から長くて4、5時間でしたね。他の習い事がない日は、学校が終わって母の車で練習場へ直行し、ショートコースを夜の9時ごろまで回り続けていました。
- 渡辺
- 実践形式の練習だったんですね。
- 宮崎
- はい。友達もいっぱいいるのでみんなで夜まで回っていました。
- 齋藤
- そういうコミュニティになっているんだね。
- 宮崎
- 仲間がいるので切磋琢磨しながら練習していました。ずっと勝負している感覚なので不思議と辛くはなかったですね。
- 渡辺
- 小中学校はずっとそのペースでの生活を?
- 宮崎
- 中学校からはゴルフ部に入部したので、母の送迎等はなかったです。
- 渡辺
- 小中学校は地元の学校ですか?
- 宮崎
- いえ。地元は埼玉の川口なんですが、幼稚園から日本橋の公立校に通っていました。結構地元からその学校に通っている子は多かった印象です。中学校はゴルフで有名な杉並学院に進学しました。
- 渡辺
- 進学先はご自分で決められたのですか?
- 宮崎
- そうですね。仲の良い先輩が杉並学院だったのでそこまで迷いはなかったです。1クラスでゴルフに集中できる環境でした。
- 渡辺
- 学年で1クラスなんですね?
- 宮崎
- はい。小学校中学校も1クラスでした(笑)
- 齋藤
- ICUに入っているということはゴルフをしながら、きっと勉強も頑張っていたんですよね。時間はどういう風に使っていたんですか?
- 宮崎
- 小学校の時は全然勉強できませんでした。中学校に入ってから1番を取れるようになっていきました。でも基本的にずっとゴルフ中心の生活でしたね。
- 渡辺
- 宮崎さんは好きな選手だったり、目指したいなと思う存在はありましたか?
- 宮崎
- ないです。
- 渡辺
- なるほど。誰かに憧れて追い続けるのではなくて、自分たちの中で競い合って上り詰めていく環境だったのですね。
- 宮崎
- でも実は、そこまでプロゴルファーになりたかったわけではなかったです(笑)
- 渡辺
- あ、プロになりたいわけではなかったんですね?高校生の時はどのくらい試合に出ていらしたんですか?
- 宮崎
- プロになる為というよりも目の前の試合に向けて頑張ることで精一杯でした。高校生の時は海外の試合含め、結構出ていましたね。長期休みの間にまとまって試合が入る形でした。
- 渡辺
- それ以外の時間は練習にあてながら。ご自分のゴルフの成績では、これまでにどんな変化があったのでしょう?
- 宮崎
- 小学生の時は変化がありましたが、中学高校では少し違いましたね。
- 渡辺
- それは自分の中で壁を感じる瞬間があったり…?
- 宮崎
- そうですね、でもやっぱり他の選手と比較するとなかなかお金と時間をかけられていなかったのでそこは大きかったと思います。
- 渡辺
- それはどういう意味ですか?
- 宮崎
- だんだんと、学校に行かずにゴルフの練習をする子が多くなっていくんです。でも私の場合は親の仕事がうまくいかなくなってきてしまい、親戚の家から高校に通う日々でした。両親が働いているのと勉強も疎かにしたくないという思いから、基本的にラウンドに行けるのが日曜日だけだったんです。絶対的に他の選手より練習時間が少なくなってしまいました。
- 渡辺
- ご自身ではどんなふうに思ってましたか?
- 宮崎
- 当時プロゴルファーになりたい気持ちが強かったわけではないですが、どんどん自分より下の順位にいた選手に追い抜かれていき、もっと頑張りたいという悔しい気持ちはありました。
一生試合に出ていたいです。
- 渡辺
- そこからどうしてICUへの進学を選ばれたんですか?
- 宮崎
- めっちゃ負けず嫌いだったからです(笑)
- 渡辺
- というと?
- 宮崎
- プロ宣言はしようと決めていたんです。ゴルフ部のある学校に行ってしまうと学生の試合に出ないといけないので、在学中はアマチュアでいることになります。でも偏差値が高い学校に行きたいと思った時、ICUならプロ宣言が出来ると思いました。
- 渡辺
- 偏差値の高い学校というと東大とか他の学校も検討されて?
- 宮崎
- 私立しか考えていなかったです。受験勉強していなかったので(笑)
- 渡辺
- ずっとゴルフ中心の学生生活ですものね。だとすると、通常の受験勉強とはひと味違うICUが視野に入るはわかります。
- 齋藤
- それはご両親と相談しながら大学を決めたんですか?
- 宮崎
- 高校生の時三鷹に住んでいたんですが、ICUを知らなかったんです。母に勧められてオープンキャンパスに行きました。それがきっかけです。
- 渡辺
- 入学試験はどうでしたか?
- 宮崎
- 私はICU特別入試で入学しているので、作文を書いて面接してもらいました。
- 渡辺
- ICU在学中はどんなふうに受講したり、ゴルフに邁進したり、バランスをとっていらしたんですか?
- 宮崎
- 卒業したら普通に就職しようと思っていました。入学後、ゴルフ番組のアシスタントをさせていただく機会がありそのままアナウンサーになろうと考えていて。
- 渡辺
- それはゴルフでプロにならなくても、ということですか?
- 宮崎
- そうですね。でもいざ就職を考えた時、自己PRが全部ゴルフだったので結局ゴルフの練習をすごくしていて(笑)中途半端なのは嫌だなと思って、就職活動を全部やめてゴルフに集中することにしました。
- 渡辺
- そう決心なさったのはいつ頃ですか?
- 宮崎
- 3年生ごろですね。地方局のインターンやアナウンサー試験を受けていた頃です。
実は学生時代奨学金を借りて大学へ行っていまして。ICUって学費が高いので800万円くらいになっちゃって。「これは地方局では返すのに時間がかかるぞ」と(笑)
- 渡辺
- なるほど。
- 宮崎
- それで、ゴルフだと学生でもプロ宣言をしたらお金をもらえるんです。大学3年か4年の時にプロ宣言をしました。
- 渡辺
- 色々な算段をなさりながらゴルフに集中すると決心なさったんですね。大学とゴルフとの両立はどうでしたか?
- 宮崎
- 結構キツかったです。大学に入ってからは朝から晩まで学校に縛られていたので。授業が終わってから練習をしていました。
- 渡辺
- コーチはいらしたのですよね?
- 宮崎
- 基本ずっとついていますね。大学時代は、幼い頃から知ってくれている方と二人三脚で頑張っていました。
- 齋藤
- 宮崎さんは今後、ゴルフを通じてこんなことをやっていきたいみたいな、そんなお考えはありますか?
- 宮崎
- 一生試合に出ていたいです。シニアのレジェンドツアーになっても出ていたいです。
- 齋藤
- それはなんでなんですか?
- 宮崎
- 自分が他のことをやっている姿があまり考えられないんです(笑)出来ることなら試合に出続けながら、解説もやりながら…が良いなと考えています。
- 齋藤
- そして今は日本でのプロテストに合格するために一生懸命頑張っておられるんですよね。
- 宮崎
- はい。ひとつ大きな所属先があるので、日々練習をしトーナメントに出場しながら頑張っています。
ICUに入って自由な気持ちになれました。
- 齋藤
- ICUで学んだことや、そこからこれからの人生に生かしていけそうなことは何かありますか?
- 宮崎
- 日本にこだわらない考え方をICUで知りました。プロテストに合格しなくてはいけないのは実は日本だけなんです。プロ宣言をした時点で海外の試合の予選会には基本誰でも出場できます。私は世界で試合をしたいので、合格率2〜3%ほどの日本だけのプロテストにあまり縛られていません。
- 齋藤
- 海外で活躍できるというのはICUの持っている強みのひとつだと思うね。だから、グローバルに海外でやるというのは良い考え方だと思いますよ。
- 渡辺
- それは海外を拠点にすることになるんですか?それとも日本にいながら世界のツアーに出場なさることに?
- 宮崎
- 基本的に拠点はないですね。今年は日本と台湾の試合が主ですが、来年もしヨーロッパツアーに出場できたら毎週違う国で試合をしないといけなかったりするので、各地を巡りながら日本での大きな試合の時に帰国する形になると思います。
- 渡辺
- 試合がずっとある環境はかなりプレッシャーだと思うのですが、それでも続けられるということは本当に試合がお好きなんですね。
- 宮崎
- 試合は毎週あるので、今週ダメだったとしても来週頑張ろう!という気持ちになります。
- 齋藤
- 勝てる時と勝てない時がもちろんあると思いますが、勝てる時の共通点ってあったりしますか?
- 宮崎
- その日の流れを持っている子が勝っていく印象ですね。自分自身をどれだけコントロールできるかが大事だと思います。
- 齋藤
- ということは気持ちの問題がものすごく大きいということですね。
- 渡辺
- それでも、どうしても気持ちの上下ってあるものだと思うのですけど、マイナスの状態から抜け出すためにどんなメンテナンスをなさるんですか?
- 宮崎
- 私はネガティブな気持ちになったら寝ます。寝たら忘れるタイプで朝起きたらもう大丈夫です(笑)
- 渡辺
- ICUはご自身にとってどんな場所でしたか?
- 宮崎
- ICUに入ってから自由な気持ちになれました。小学校から高校までは優等生として頑張らないといけない環境でしたが、大学に入ってからは授業中の発言含めとても自由で。気持ちが楽になりました。なので勉強も大変だったけど辛くは無かったです。
- 渡辺
- それはゴルフにも影響がありましたか?
- 宮崎
- そうですね。多分大学入学以前の私だったら、日本にとどまって日本のプロテストに合格してツアーに集中しなきゃ。という風に考えて今も動いていたと思います。ICUに入学したことは転機でした。
- 齋藤
- プレッシャーのかかる中で大したもんだと思いますよ。
- 渡辺
- では最後に、ICU生やこれからICUを目指してくださる学生の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
- 宮崎
- 興味のあることになんでも挑戦してみてください。やってダメだったら次に行けば良いんです。
プロフィール
宮﨑千瑛(みやざき ちえ)
1997年生まれ。2019年ICU卒業。5年プログラムを経てICU大学院修士課程を2020年に修了。メディア・コミュニケーション・文化メジャー。
3歳からゴルフを始め、5歳から競技に出場。ベストスコア65。7歳から世界ジュニアゴルフ選手権に出場し計6度出場。中学高校時代は杉並学院高等学校ゴルフ部で部長を務めた。ICU在学中にプロ転向をし、マイナビネクストヒロインゴルフツアーなどに出場。卒業後はアメリカのWomen’s All Pro Tourや台湾LPGAツアーに出場中。試合以外では、BS日テレ「ゴルフサバイバル」、BSテレ東「ゴルフ天下たい平」TBS「KUNOICHI」などのテレビ番組、「UUUM GOLF」「なみきゴルフ」などのYouYubeに出演。
3歳からゴルフを始め、5歳から競技に出場。ベストスコア65。7歳から世界ジュニアゴルフ選手権に出場し計6度出場。中学高校時代は杉並学院高等学校ゴルフ部で部長を務めた。ICU在学中にプロ転向をし、マイナビネクストヒロインゴルフツアーなどに出場。卒業後はアメリカのWomen’s All Pro Tourや台湾LPGAツアーに出場中。試合以外では、BS日テレ「ゴルフサバイバル」、BSテレ東「ゴルフ天下たい平」TBS「KUNOICHI」などのテレビ番組、「UUUM GOLF」「なみきゴルフ」などのYouYubeに出演。