ICUとちぎ支部は、1期生の船津祥さんの呼びかけで発足し、ICU那須キャンパスで食事会をしたり、禅寺で座禅をしたり、那須の非電化工房を訪ねたり、毎年、いろいろ趣向を凝らして支部会を開催してきました。
初代支部長の船津さんはもちろん、同じく1期生の久世礼子さんは明治学院元院長のご主人同伴で、ICU体育科の元教授丹羽芳雄先生もご夫妻で、毎回参加のご常連です。
13回目となる今回は「食と命と農」をテーマに、2月28日(土)、元ICU教授でアジア学院元院長の田坂興亜先生(有害化学物質の専門家)をゲストにお迎えし、アジア学院で開催、15名が参集しました。
アジア学院では、青年留学生が、農薬や化学肥料、大型機械に頼らない自立できる農業を目指し、実習を重ねています。田坂先生はICUを退任後、アジア学院の院長として、生徒と起居を共にして指導に当たられました。卒業生たちとの絆は、今も太く深く広がっています。近々、ブータン政府に招かれて農業指導に行くとのこと。声にも張りがあり、はつらつとした先生にお会いして、70代はまだ青年期なのかなと思ってしまいました。
この田坂先生とアジア学院を結びつけたのが、「アフリカの飢え」に気づき、ICUで「飢餓救済委員会」を立ち上げた22期生の塚田明人さんだというのを今回初めて知りました。塚田さんの誘いでアジア学院のワークキャンプに参加したのが、アジア学院との運命の出会いだったそうです。
もともとICUとアジア学院の縁は深く、アジアのノーベル賞といわれるマグサイサイ賞を受賞した創設者高木敏弘牧師の奥様は、ICUの古谷安雄牧師の妹だそうです。また、これまでにも幾多のOB、OGが指導的立場で活躍してきました。今も、荒川朋子さんが中心になってアジア学院の運営、震災からの復興に尽力しています。
アジア学院は「3.11」の地震で施設に被害を受けましたが、これは各界からの寄付により、以前よりも立派で機能的な建物に生まれ変わりました。原発事故による放射能汚染については、学内に「ベクレルセンター」を設置し、作物の安全性を測定しています。「食と命と農」に対するアジア学院の立つ位置は、農薬、原発、遺伝子組み換え、TPPと対極にあります。今回も田坂先生を中心に話題は尽きず、昼に始まった会がお開きとなったのは午後6時を過ぎてしまいました。
なお、今回、4年間支部長を務めた黒澤常道さんから、荒川朋子さんに支部長のバトンタッチがありました。荒川さんは、4月からアジア学院の校長に就任する予定です。乞う、ご期待。
文責:村上民樹(22)