ICU祭初日の10月22日、今年のDAY賞を受賞したフォトジャーナリスト、食文化研究家で、早稲田大学、大正大学で教鞭をとる森枝卓士さん(22期 ID78)によるDAY賞受賞者トークが開かれました。
森枝さんは熊本県水俣市の出身。高校時代に水俣病の取材に来た世界的写真家であるユージン・スミスのアシスタントをしたことがきっかけでジャーナリズムに興味を持ち、広い視野を身につけたいと思ってICUに進学。在学中は文化人類学を専攻し、写真部に在籍。卒業後に滞在したラオスやタイで、戦争や難民問題などを中心としたフォトジャーナリストとしての活動を開始し、並行してアジアの食の世界に分け入っていったとのことです。
食に関する本を数多く出版している森枝さんの食に対する視点は、歴史を縦軸、比較文化を横軸に考察すること。たとえば、子ども向けに書いた写真絵本『手で食べる?』(福音館書店)では、食べ物をフォークとナイフで食べる文化圏、はしで食べる文化圏、手で食べる文化圏に分けて、その背景を歴史的に解説し、食の常識が文化によって違うことを実証しています。ICUのリベラルアーツ教育で複数の”軸”を持ったことがプラスになった、と森枝さんは回想。
9月に訪れたばかりのウガンダとエチオピアのスライドなどを見せながら、ユーモアたっぷりに講演。質疑を交えた90分は、あっという間に過ぎ、約50人の出席者は名残を惜しんで森枝さんを送り出しました。
記事:朽木ゆり子(18期) 写真:岡田曜(51期 ID07)
↓ スクリーンに映し出された自作の写真を見せながら語る森枝卓士さん